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【速報】 東証市場の再編 企業の選択市場区分の公表~各市場区分別の上場会社数とそのリスト~

執筆者:小林孝嗣

公認会計士/㈱文化資本創研 代表取締役社長
国際文化政策研究教育学会 会員

㈱文化資本創研とは
サステナビリティ経営のための産学連携会社。
京都大学含む10以上の大学・研究機関の教授・研究者と公認会計士・IRスペシャリスト・データアナリスト・プロダクトデザイナーなど実務のプロ集団が協働で企業のサステナビリティ経営の実装を支援している。
国際文化政策研究教育学会などと連携。 脱炭素経営促進ネットワーク (環境省) 支援会員

目次

  1. 【速報】東証市場の再編と市場区分別会社リスト
  2. プライム市場上場会社開示実質義務化のTCFDとは
  3. 『脱炭素』に係る関連コラム
  4. 市場区分の見直しと「プライム市場」の位置づけ

1. 【速報】東証市場の再編と市場区分別会社リスト

(1) 東証再編のまとめ

2022年1月11日、日本取引所グループは、「上場会社による新市場区分の選択結果」を発表した。
その結果、各市場を選択した企業数は以下の通りであった。

上場会社区分上場会社数(外国株含む)
プライム市場1,841社
スタンダード市場1,477社
グロース市場459社

なお、東証一部上場企業2,185社(2022年1月11日現在)のうち、プライム市場を選択した企業は1,841社であり、東証一部上場企業の約84%がプライム市場を選択した結果となりました。

(2) 市場区分別会社リスト

各会社が選択した市場区分は、日本証券取引所グループ「上場会社による新市場区分の選択結果」をご覧ください。

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2. プライム市場上場会社開示実質義務化のTCFDとは

(1) TCFDとは

TCFDとは、G20の要請を受け、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、金融安定理事会(FSB)により設立された気候関連財務情報開示タスクフォースのことです。
TCFDとは、Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略称です。

(出所) TCFDコンソーシアムホームページ

TCFDは、2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関する下記の項目について開示することを推奨しています。

(出所) TCFDコンソーシアムホームページを基に当社一部加工

(2) TCFDの推進主体と目的

① TCFDの推進主体 ~金融安定理事会~

TCFDの推進主体は、金融安定理事会(以下、FSBという。) です。
FSBは、1999年に設立された金融安定化フォーラムを前身とし、2009年4月に設立され、金融システムの脆弱性への対応や金融システムの安定を担う当局間の協調の促進に向けた活動などを行っています。
FSBには、2020年末時点で、主要25か国・地域の中央銀行、金融監督当局、財務省、主要な基準策定主体、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECDなどの代表が参加しています。

② TCFDの目的 ~中長期的な金融市場の安定化のため~

TCFDの究極的な目標は、炭素排出量がより少なく気候変動に対して強靭な経済への円滑な移行を通じて、金融市場を中長期的により安定した強靭なものにすることです。

IPCC報告書によると、「1961~1990年と比べて2100年の気温上昇が1.5~2°Cとなった場合、気候変動による市場および非市場への影響、海面上昇による影響、大規模な不連続性に伴う影響に関連するコストなどを通じて、54~69兆米ドルの損失が発生する」とあります。

金融市場の安定化のためには、気候変動の問題は乗り越えなければならない必須の課題なのです。

(3) TCFD賛同企業・機関

① TCFD賛同企業・機関数(世界) ~日本は世界1位~

2021年11月25日現在、TCFDに対して、金融機関・公的機関を中心として、世界全体で2627の企業・機関が賛同を示し、日本では、590の企業・機関(国別賛同機関数:世界1位)が賛同の意を示しており、概ね日本の上場企業の約10%が賛同していることになります。
賛同表明している金融機関の資産総額は、既に150兆USドルを超え、現在も増加しています。

(出所) TCFDコンソーシアムホームページ
(出所) TCFDコンソーシアムホームページ

② TCFD賛同企業・機関(日本)

金融庁・環境省・経済産業省・日本証券取引所なども正式に賛同の意を表明しています。
また、 KPMGが作成した「日本企業の統合報告に関する調査2020」によると、日経225構成企業におけるTCFD賛同企業の割合は64%(2020年12月31日時点、前年は45%)と増加傾向にあります。
業種別では、「金融」、「素材・建築物」、「電機・機械・通信」が上位を占めています(2021年2月8日現在)。

(出所) 環境省ホームページ

なお、最新のTCFD賛同企業・機関は、経済産業省ホームページで確認できます。

(4) TCFD提言に沿った開示の現状(日本) ~現状、統合報告書が中心~

KPMGが2021年3月に公表した『日本企業の統合報告に関する調査2020』によると、日経225構成企業でTCFDに賛同する145社のうち、84%が統合報告書上で『TCFDヘ賛同している旨』を開示しており、統合報告書上で『TCFD提言に沿った開示』を行う企業は76%に対し、有価証券報告書上で『TCFD提言に沿った開示』を行う企業は8%でした。
現在のTCFD提言に沿った開示は、有価証券報告書(法定開示資料)ではなく、任意の統合報告書が中心となっています。

(出所) KPMGホームページ

(5) TCFD提言に沿った開示の実質義務化(プライム市場)

上場区分(東証再編後)TCFD提言に沿った開示の要否
プライム市場実質的に義務化
(開示しない場合、その理由を説明)
スタンダード市場・グロース市場任意(ただし、推奨)

CGCでは、「プライム市場(※1)上場会社はTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。」とあり、「コンプライ・オア・エクスプレイン」の原則からすると、プライム市場においてTCFD提言に沿った開示は実質的に義務化されたといえます。

なお、3月期決算企業の場合、2022年6月の株主総会後に提出するCGC報告書から記載が必要となります。

(6) 有価証券報告書での開示の義務化が検討

現状、TCFD提言に沿った開示の実質義務化は、プライム市場上場会社にとどまっていますが、「ガバナンス」・「リスク管理」を中心に有価証券報告書上での開示の義務化も検討されています。

気候関連シナリオ分析(後述)などTCFD提言に沿った開示には相当な工数を要します。
したがって、スタンダード市場・グロース市場上場会社も少しずつTCFD提言に沿った開示内容の理解や具体的な情報収集・検討を進めることが望まれます

(※1)本コラム「4. 市場区分の見直しと「プライム市場」の位置づけ」を参照のこと。

(出所) 日本取引所グループホームページ

3. 『脱炭素』関連コラム

本コラム以外にもTCFD・脱炭素に関連するコラムを公開していますので、併せてご覧ください。

テーマタイトルとリンク
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4. 市場区分の見直しと「プライム市場」の位置づけ

東証は、下記の既存課題を踏まえて市場区分の見直しに向けた検討を進め、2022年4月4日に、現在の市場区分を「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場」の3つの市場区分に見直します。

≪既存の課題≫
・ 各市場区分のコンセプトが曖昧であり、多くの投資者にとっての利便性が低い。
・ 上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けが十分にできていない。

(出所) 日本取引所グループホームページ

各市場区分のコンセプトに応じて、流動性やコーポレート・ガバナンスなどに係る定量的・定性的な上場基準をそれぞれ設けます。
すなわち、「プライム市場」>「スタンダード市場」>「グロース市場」の順で、流動性やコーポレート・ガバナンスで要求される対応の深度及び開示が変化します。

そのうち、実質最上位となるプライム市場とは、「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」と定義されています。

なお、プライム市場の上場基準(概要)は、以下の通りです。

(出所) 日本取引所グループホームページ

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  本コラムの作成後に、関連する制度その他の適用の前提が変動する可能性もあります。
  個別事案への適用には、本コラムの記載のみに依拠して意思決定されることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。

≪TCFD・東証市場再編×最新ニュース≫
東証、プライムなど3市場の振り分けをきょう公表(2022年1月11日)
 引用元 : 日本経済新聞社
東証:きょう公表、企業の選択市場-日経平均、TOPIXに影響も(2022年1月11日)
 引用元 : ブルームバーグ
東証、新市場区分の上場企業を11日に公表(2022年1月10日)
 引用元 : 日本経済新聞社
11日 東証、上場企業の新所属先公表(2022年1月9日)
 引用元 : 日本経済新聞社
東証1部企業、8割超「プライム」へ 基準未達300社、中堅向け移行も―市場選択、30日期限(2021年12月30日)
 引用元 : 時事通信
「TCFDとは?」追われる企業 気候リスク開示始動(2021年11月10日)
 引用元 : 日本経済新聞社
気候変動リスクとは 東証「プライム市場」で開示義務(2021年10月19日)
 引用元 : 日本経済新聞社
日銀の気候変動オペ、TCFD開示の金融機関が対象-12月開始(2021年9月22日)
 引用元 : ブルームバーグ
TCFDとは 気候リスクの情報開示促す(2021年7月26日)
 引用元 : 日本経済新聞社

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