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データセンターの脱炭素化が最大6割引‼ 補助金・税制優遇を活用した設備投資

執筆者:小林孝嗣

公認会計士/㈱文化資本創研 代表取締役社長
国際文化政策研究教育学会 会員

㈱文化資本創研とは
サステナビリティ経営のための産学連携会社。
主な事業は、SDGs・脱炭素経営の実装支援、オープンイノベーション加速化事業、経済効果測定・データ分析。
大阪・関西万博2025への産学連携共同参画プロジェクトも展開。
京都大学含む10以上の大学・研究機関の教授・研究者と公認会計士・IRスペシャリスト・データアナリスト・プロダクトデザイナーなど実務のプロ集団が協働で企業のサステナビリティ経営の実装を支援している。
国際文化政策研究教育学会などと連携。 脱炭素経営促進ネットワーク (環境省) 支援会員

予算がデータセンターの脱炭素化のネックとなっている企業も多いかと思います。

実は、補助金と税制優遇措置をフル活用すると、最大約6割引でデータセンターの脱炭素化ができるケースもあります。

本コラムでは、投資コストを抑えるデータセンター関係の補助金及び税制優遇措置などを紹介します。

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目次

  1. 初期投資コストを抑えるコツ
  2. 使える補助金 ~データセンターの脱炭素化~
  3. 補助金申請の概要(環境省編)
  4. 使える税制優遇 ~データセンターの脱炭素化~
  5. 資金調達方法 ~グリーンファイナンスとは~
  6. そもそも(脱炭素)カーボンニュートラルって何?
  7. よくある質問 ~補助金(環境省編)・CN税制~

1. 初期投資コストを抑えるコツ ~補助金・税制優遇・グリーンファンナンスの活用~

データセンターに係る補助金・税額控除をフル活用すると、最大約6割引で設備投資できるケースもあります。

また、グリーンファイナンスによる金利優遇のメリットや対外PRによる企業のイメージアップなどにより様々な副次的効果も期待できます。

次章以降では、データセンターに使える補助金や税制優遇、金利メリットのあるグリーンファイナンスなどを解説します。

2. 使える補助金 ~データセンタ―の脱炭素化~

まず、補助金で投資額の最大50%(1/2)の助成を受けることが可能です。

(1) データセンターに係る主な補助金 ~令和4年度(概算要求より)~

令和4年度の概算要求(環境省)がなされているデータセンターに係る主な補助金の概要は、以下の4つの事業です。

補助事業名制度概要
データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業(環境省)【事業概要】
地域再エネの効率的活用に資するコンテナ・モジュール型データセンター導入促進事業
地域再エネの活用によりゼロエミッション化を目指すデータセンター構築支援事業
③ 既存データセンターの再エネ導入等による省CO2改修促進事業
④ 省CO2型データセンターへのサーバー等移設促進事業

【補助対象】
対象事業者:民間事業者・団体等
対象経費:工事費(本工事費、付帯工事費、機械器具費、測量及試験費)、設備費、業務費及び事務費など

【補助概要】
補助対象経費の1/2 (上限設定あり)
(出所) 環境省ホームページ
(出所) 環境省ホームページ

① 補助対象経費の範囲

一般的に、以下のような経費は補助金の対象となりません。(令和3年度の公募要領より)

≪補助対象外経費の代表例≫
• 事業に必要な用地の確保に要する経費
建屋の建設にかかる経費
• 事業実施中に発生した事故・災害の処理に要する経費
既存施設・設備等の撤去費及び処分費
• 補助対象設備以外のオプション品の工事費・購入費等
• 浸水対策などの嵩上げ基礎に係る経費
• 再エネ電力メニュー及び再エネ電力証書の購入費用
• 官公庁等への申請・届出等に係る経費
• 本補助金への応募・申請手続きに係る経費
• その他事業の実施に直接関連のない経費

一般的に、土地・建物そのものに関わるコストや付随的にかかるコストは対象とはなりません。

要件・補助対象経費の範囲・上限は、各補助事業で異なります
各補助事業の詳細な内容は、執行団体(補助金申請団体)で公表される最新の公募要領をご覧ください。

太陽光発電設備を含む再生可能エネルギー発電設備が補助対象になるか否かは応募する事業によって異なります
別コラム「太陽光発電が最大7割引‼ 補助金・税制優遇を活用した脱炭素化」なども併せてご覧ください。

当社には、脱炭素に精通した公認会計士・税理士が複数在籍しています。
脱炭素に係る補助金について詳しく知りたい場合や調査が必要な場合、お気軽にお問い合わせください。

3. 補助金申請の概要(環境省編)

補助金 (再生エネルギー関係)のうち環境省の申請フローは、以下の通りです。
なお、一般的に各省庁に直接応募するのではなく、執行団体という関連省庁からの補助事業の受託団体に応募することになります。

(1) 対象となる補助金制度を探す方法

脱炭素化事業支援情報サイト(エネ特ポータル)」の「補助・委託事業一覧」で希望対象年度を選んで補助金制度を検索することが可能です。

(2) 公募の窓口(執行団体)を探す方法(補助間接事業編)

「補助間接事業」の場合、執行団体とは公募の窓口のことです。
令和3年度の各補助金の執行団体は、環境省ホームページ「2021年度(令和3年度)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金に係る補助事業者(執行団体)について」が公表されています。
執行団体で公表されている公募要領などを参考に応募します。

(参考)間接補助事業とは

間接補助事業」とは、 環境省が執行団体を通じて支援を行う事業のことであり、環境省とは別の執行団体が公募窓口となって実施する補助金制度です。

主な事業形態は、以下の3つです。

間接補助事業環境省が執行団体を通じて支援を行う事業
直接補助事業環境省が直接支援を行う事業
委託事業実証・支援・技術開発等の事業

事業形態は、環境省の説明資料の以下の箇所で確認できます。

(出所) 環境省ホームページ

4. 使える税制優遇 ~データセンターの脱炭素化~

投資額の最大50%(1/2)の補助金に加えて、投資額(補助金圧縮後)の最大10%税額控除が適用できる場合もあり、両方が適用できた場合、実質最大約6割引で設備投資が可能です。

データセンターの設備投資では、法人税の税額控除だけでなく固定資産の減免も受けられる場合も多いです。
では、それぞれの税制の概要をみていきましょう。

(1) カーボンニュートラルに係る主な税制優遇措置 ~法人税関係~

カーボンニュートラルに係る主な税制優遇措置(法人税関係)の概要は、以下の通りです。

① 大企業 ~新設された税制の活用~

大企業は、新設された「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(以下、CN税制)」で脱炭素化投資を圧縮することができます。

② 中小企業等 ~3つの税制からいずれかの適用を検討~

中小企業者等は、従来よりある「中小企業投資促進税制」「中小企業経営強化税制」に加えて「CN税制」の3つの税制などの要件や優遇措置の内容を比較衡量しながらどの税制優遇措置を適用するか検討することができます。

次に、それぞれの税制の概要を見ていきましょう。

(2) カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 ~最大0.2%の利子補給制度も~

CN税制は中小企業に加えて大企業も対象となっており、税制優遇に加えて最大0.2%の利子補給などの金融支援もあります。

① 概要 ~事業適用計画の策定・認定が必須~

産業競争⼒強化法の計画認定制度に基づき、①⼤きな脱炭素化効果を持つ製品の⽣産設備、②⽣産⼯程等の脱炭素化と付加価値向上を両⽴する設備の導⼊に対して、税額控除⼜は特別償却を認める措置のことです。

なお、当該税制の適用には、事業適応計画を作成し、認定を受けなければなりません。

(出所) 経産省ホームページ

適用対象資産

中長期環境適応計画に基づき、取得し使用する下記の設備が税制措置の対象となります。
 ・ 大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備
 ・ 生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備

(出所) 経済産業省ホームページ

一般的に、データセンターの新設・改修に係る設備は「大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備」に該当しないため、「生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備」での適用を検討していくことになります。

③ 税制優遇の概要

具体的な税制措置の内容は、下記の通りです。

炭素生産性の向上要件( 「7. よくある質問」 参照)の違いにより適用できる措置が異なります。

「生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備」には、生産ラインに直接かかわる設備のほかに、太陽光パネル(機械装置)やZEB化に係る設備(建物除く)なども対象になると言われています。

適用対象資産は「機械装置」「器具備品」「建物附属設備」「構築物」に分類される資産に限定されており、「建物」「車両運搬具」「ソフトウエア」などは対象外であることはご留意ください。
例えば、①新築時の建物本体、②改築時の建物の内装工事(建物計上する部分)、③オフサイト型で発生しうる発電設備の電力会社と連系するための工事費用である連系工事負担金などは、繰延資産に該当するため対象外となります。

なお、設備の使⽤形態によって個別に判断が必要なケースもありますので必ず申請の事前相談時にご相談ください。

④ 主な留意事項

CN税制の主な留意事項は、以下の通りです。

計画の審査方法や炭素生産性の具体的な計算方法などは、経産省ホームページ「エネルギー利⽤環境負荷低減事業適応計画(カーボンニュートラルに向けた投資促進税制)の申請⽅法・審査のポイント」に記載されています。
その他、本コラム「7. よくある質問」も併せてご覧ください。

⑤ 金融支援(利子補給等)

着実なCO2削減のための取組を進めるために、必要な資金の指定金融機関からの融資について予め設定したKPIを達成した場合に、金利を最大0.2%引き下げる成果連動型の利子補給制度があります。

詳細は、経産省ホームページ 「カーボンニュートラル実現に向けたトランジション推進のための利子補給事業等における指定金融機関の募集を開始しました」などをご覧ください。

⑥ 関連URL

個別事案の具体的な税制適用の可否判定は、下記の関連省庁の公式情報に基づきご検討ください。
・ 経産省ホームページ 「「産業競争力強化」に向けて果敢な未来投資を後押し
・ 経産省ホームページ 「事業適応計画(産業競争力強化法)
・ 国税庁ホームページ 「No.5925 カーボンニュートラルに向けた投資促進税制

(3) 中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制

① 概要 ~いずれかの選択適用~

中小企業者等の場合、CN税制・「中小企業投資促進税制」・「中小企業経営強化税制」のいずれかを選択し適用を受けることができます。

≪(参考)中小企業者等の定義≫
・ 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
・ 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・ 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
・ 協同組合等 など

② 税制優遇の概要

具体的な適用対象法人・適用対象資産・税制措置の内容は、下記の通りです。

「中小企業経営強化税制」の場合、一定の要件を満たした経営力向上計画の策定と認定が必要ですが、税制優遇(即時償却可 or 税額控除10%)は厚くなります。
「中小企業投資促進税制」の場合、税制優遇メリットは下がりますが、計画策定と認定が不要です。

計画策定の手間と税制優遇メリットなどを比較衡量しながら、どちらを適用するか検討することになります。

なお、「中小企業経営強化税制」の対象設備と確認者は、以下の通りです。

(出所) 中小企業庁ホームページ

③ 関連URL

個別事案の具体的な税制適用の可否判定は、下記の関連省庁の公式情報に基づきご検討ください。
中小企業投資促進税制≫
・ 中小企業庁ホームページ 「中小企業投資促進税制
・ 国税庁ホームページ 「No.5433 中小企業投資促進税制
中小企業経営強化税制≫
・ 中小企業庁ホームページ 「経営強化法による支援
・ 国税庁ホームページ 「No.5434 中小企業経営強化税制

(4) 固定資産税の減免措置

このほか、固定資産税の減免措置もあります。
一定の設備に最大3年間固定資産税がゼロになる「先端設備等導入計画に係る固定資産税の特例」や太陽光設備など一定割合の固定資産税の減免が受けられる「再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の特例」などがあります。

先端設備等導入計画に係る固定資産税の特例

(出所) 中小企業庁ホームページ

再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の特例

(出所) 資源エネルギー庁ホームページ

詳細については市町村で異なる場合もありますので、各市町村の資産税担当課にご確認ください。
こちらの減免対象設備に該当するか否か確認し、固定資産税の減免も併せて受けていきましょう。

当社には、脱炭素に精通した公認会計士・税理士が複数在籍しています。
脱炭素に係る税制について詳しく知りたい場合や調査が必要な場合、お気軽にお問い合わせください。

5. 資金調達方法 ~グリーンファイナンスとは~

通常の融資で資金調達も可能ですが、金融機関は企業の脱炭素化を後押しするために様々な融資・社債制度を設けています。

下記は、グリーンファイナンスの代表格です。

  • グリーンボンド (資金使途が限定)
  • グリーンローン (資金使途が限定)
  • サスティナビリティ・リンク・ローン (資金使途が不特定)
  • ポジティブ・インパクト・ファイナンス (資金使途が不特定)

これらを組成すると金融機関のニュースリリースで紹介されたり、脱炭素の取り組みを対外的にPRできる効果も期待できます。
別コラム「SDGs・脱炭素で金利引き下げ! 拡がるサステナブル融資」で、これらのファイナンスの概要や取扱金融機関の一例を紹介していますのでそちらをご覧ください。

6. そもそも脱炭素(カーボンニュートラル)とは

(1) 脱炭素(カーボンニュートラル)とは

カーボンニュートラルとは、”二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、森林などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすること”です。

(出所) 環境省ホームページ

なお、2021年4月22日~23日に行われた気候変動サミットなどで各国が掲げた削減目標の一例は、以下の通りです。

日本も2030年までにCo2排出量を46%削減(2013年度比)するという非常に高い目標を掲げており、目標を達成するためには、国・自治体だけでなく、特に産業界の行動変容がカギとなります。

(出所) 資源エネルギー庁ホームページ

(2) 政府がカーボンニュートラルを推し進める背景

では、なぜ政府はカーボンニュートラルを推し進めるために、税金を優遇し補助金を設けているのでしょうか。

それは、国際社会の中で決めたルールを守る責務もありますが、カーボンニュートラルによる変革が、”経済成長のために不可欠なカギ”、すなわち、”イノベーション創出を促すドライバー”と政府が捉えているためです。

2020年10年26日に、菅総理大臣が2050年にカーボンニュートラルや脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、経済産業省が中心となって「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しています。
2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」 で、下記のように政府が全力でカーボンニュートラルに取り組む背景が書かれています。

  • 温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、成長の機会ととらえる時代に突入したのである。従来の発想を転換し、積極的に対策を行うことが、産業構造や社会経済の変革をもたらし、次なる大きな成長につながっていく。こうした「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策が、グリーン成長戦略である。
  • 産業界には、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていく必要がある企業が数多く存在する。他方、新しい時代をリードしていくチャンスでもある。大胆な投資をし、イノベーションを起こすといった民間企業の前向きな挑戦を、全力で応援するのが、政府の役割である。

すなわち、過去は気候変動対策は経済成長への足かせと考えられてきましたが、政府は、気候変動対策は”成長の機会”と捉え、「グリーン成長戦略」を打ち出しています
そのような国の動きに連動し、大胆な改革を行うチャレンジングな会社を後押しするため、政府は、予算・税制・金融・規制改革&標準化・国際連携などあらゆるものを総動員してカーボンニュートラルを押し進めているのです。

(出所) 「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」より当社が一部抜粋

(3) グリーン成長戦略とは ~14つの重要分野~

「グリーン成長戦略」では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、今後、産業として成長が期待され、なおかつ温室効果ガスの排出を削減する観点からも取り組みが不可欠と考えられる分野として、14の重要分野を設定しています。

エネルギー関連産業 ①洋上風力、②燃料アンモニア、③水素、④原子力
輸送・製造関連産業⑤自動車・蓄電池、⑥半導体・情報通信、⑦船舶、⑧物流・人流・土木インフラ、⑨食料・農林水産業、⑩航空機、⑪カーボンリサイクル
家庭・オフィス関連産業 ⑫住宅・建築物/次世代型太陽光、⑬資源循環、⑭ライフスタイル

14分野は幅広く、成長のフェーズもそれぞれの分野で異なります。
そのため、政府は、分野ごとに2050年までの「工程表」も合わせてつくり、省庁横断で対応しています。

基本的には、政府は、この14分野に集中的に規制改革に加えて予算・税制の強化を図っています。
すなわち、自社の事業が14分野に関連する場合、補助金など様々な国からのサポートを受けられる可能性が高いです。
14分野に関連する場合、脱炭素推進のために活用できるプランがないか、関連省庁・自治体などのHPの閲覧などにより情報収集していきましょう。

(出所) 資源エネルギー庁ホームページ

7. よくある質問 ~補助金(環境省編)・CN税制~

質問1. 対象となる補助金はどのように検索できますか?

(回答)
脱炭素化事業支援情報サイト(エネ特ポータル)」の「補助・委託事業一覧」で希望対象年度を選んで補助金制度を検索することが可能です。

質問2. 補助金申請のフォローってどうなっていますか?

(回答)
補助金申請の概要(環境省編)」をご覧ください。

質問3. 「間接補助事業」ってなんですか?

(回答)
間接補助金事業」とは、 環境省が執行団体を通じて支援を行う事業のことであり、環境省とは別の執行団体が公募窓口となって実施する補助金制度です。

質問4. 「執行団体」ってなんですか?どこに応募すればいいですか?補助金申請のフォローってどうなっていますか?

(回答)
執行団体」とは、環境省に代わって補助金申請の窓口となる団体のことです。
なお、令和3年度の各補助金の執行団体は、環境省ホームページ「2021年度(令和3年度)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金に係る補助事業者(執行団体)について」で確認できます。
執行団体で公表されている公募要領などを参考に応募します。

質問5. 補助金と税制優遇はダブルで受けれますか?

(回答)
補助金制度によりますが、一般的にはダブルで恩恵を受けられます。
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(以下、CN税制。)も補助金との併用が可能です。
圧縮記帳を受ける場合、圧縮記帳後の金額が税務上の取得価額となる点はご留意ください。

質問6. CN税制を受けるためには、何をすればいいですか?

(回答)
CN税制は、主務⼤⾂の認定を受けたエネルギー利⽤環境負荷低減事業適応計画に従って⾏う取組に必要な設備投資を対象とした税制措置となります。
このため、まずは事業適応計画を作成し、認定を受けなければなりません。
計画実行まで約2か月かかりますので、余裕を持った事前申請が望まれます。

(出所) 経産省ホームページ

詳しくは、経産省ホームページ記載の所管する省庁までご相談ください。

質問7. 炭素生産性とは何ですか? また、付加価値額とは何ですか?

(回答)
炭素⽣産性は、よりCO2を排出せずに収益を上げていくことを評価する指標です。
具体的には、「付加価値額÷エネルギー起源CO2排出量」で計算します。

また、付加価値額は、「営業利益+⼈件費+減価償却費」で計算します。
なお、「営業利益」は、「売上総利益」とすることも可能です。

(出所) 経産省ホームページ

質問8. 炭素⽣産性の向上要件について、1%、7%、10%はそれぞれ何が違うのですか?

(回答)
事業適応計画の認定を受けるためには、原則として事業者全体で炭素⽣産性を7%以上(税額控除10%を利⽤する場合は炭素⽣産性を10%以上)向上させる⽬標を設定する必要があります。

計画に記載された炭素⽣産性向上に向けた取組のうち、設備投資を実施する事業所(⼯場や店舗)の炭素⽣産性を1%以上向上させる設備が税制の対象になります。

質問9. 炭素生産性の比較単位は会社全体ですか? それとも設備投資をする事業所のみですか?

(回答)
事業適応計画の炭素⽣産性向上⽬標は、原則として事業者全体のものとして設定します。
ただし、年間のエネルギー使⽤量が3,000kl以上の事業所である場合⼜は申請者が中⼩企業者である場合は、事業所を単位として⽬標を設定することができます
また、計画に記載された設備投資が税制対象となるかは、その設備を導⼊する事業所単位で計算します。

(出所) 経産省ホームページ

質問10. どのような設備が需要開拓商品生産設備にあたりますか?

(回答)
⼀定の要件を満たす以下のいずれかの商品の⽣産に専ら使⽤される設備が需要開拓商品⽣産設備となります。
・ 化合物パワー半導体
・ EV⼜はPHEV向けリチウムイオン蓄電池
・ 定置⽤リチウムイオン蓄電池
・ 燃料電池
・ 洋上⾵⼒発電設備の主要専⾨部品

質問11. CN税制の対象資産は何ですか? 付随費用も含めていいですか?

(回答)
区分ごとのCN税制の適用対象資産は、以下の通りです。

「建物」「ソフトウエア」「車両」などは含まれていません
太陽光パネル等も「機械装置」に該当する資産はCN税制の対象になります。
なお、設備の使⽤形態によって個別に判断が必要なケースもありますので、必ず申請の事前相談時にご相談ください。

また、対象となる減価償却資産の取得価額は、①当該固定資産の購⼊対価、②外部付随費⽤(引取運賃、荷役費、運送保険料、購⼊⼿数料、関税、その他購⼊のために要した費⽤)、③当該資産を事業の⽤に供するために直接要した費⽤の⾦額(即ち、内部取付費⽤、例えば据付費、試運転費等)のうち、減価償却資産として計上されるものの合計額になります。

質問12. CN税制はリースも対象ですか?

(回答)
ファイナンスリースのうち、所有権移転リース取引については税額控除・特別償却いずれも対象になりますが、所有権移転外リース取引については税額控除のみ対象(特別償却は対象外)となります。
なお、税額控除限度額は毎年のリース料ではなく、リース資産額をベースに計算することとなります。
また、オペレーティングリースについては税額控除・特別償却いずれも対象外です。

質問13. CN税制は中古資産・貸付資産・資産の修繕も対象ですか?

(回答)
いいえ、中古資産・貸付資産・資産の修繕は対象外です。

質問14. CN税制の上限はいくらですか?

(回答)
上限500億円です。
上限500億円は認定の要件ではなく、あくまで特別償却及び税額控除の額の計算の基礎となる投資額の最⼤値を表すものです。
このため、600億円の投資計画であっても認定を受けることはできますが、特別償却限度額⼜は税額控除限度額は500億円を基礎として計算されます。

質問15. CN税制は他の税制との重複は可能ですか?

(回答)
同⼀設備に対する複数税制の重複適⽤はできません
ただし、固定資産税の特例措置とは重複して利⽤することが可能です。

質問16. 同時期に、DX投資促進税制とCN税制に関する事業適応を⾏う場合、どのように申請すればいいですか? それぞれ計画を作成する必要がありますか?

(回答)
まとめてひとつの計画で提出することが可能です。
ただし、DX投資促進税制の適⽤を受ける場合、DX投資促進税制とCN税制の合計で法⼈税額の20%までが上限となります。

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