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徹底解説! 事業再構築補助金のポイント ①目的・補助額・要件

初回投稿日 : 2021年5月22日
更新日   : 2021年10月8日

政府は、中小企業等の新規事業創出を支援するため、『事業再構築補助金』を設けています
当コラムでは、基本的な補助金の目的・補助額・要件などを紹介します。

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目次

  1. 補助金の目的
  2. 補助額・補助率 ~最大1億円の補助金~
  3. 補助金を受けるための要件
  4. 事業再構築補助金のよくある質問
  5. 事業再構築補助金のお問い合わせ先はここ

更新日:2021年10月7日

1. 補助金の目的 ~事業再構築補助金で政府が後押ししたいこと~

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応する必要があります。
そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を資金面で支援し、日本経済の構造転換を促すことが事業再構築補助金の目的です。

簡単に言えば、コロナで苦しんでいる中小企業等の新ビジネス立ち上げの資金面での支援を通じて、中小企業等がコロナで減少した売上を挽回できる事業を生み出すことを支援する事業です。

令和2年度第3次補正予算で予算額1兆1485億円が計上されており、過去最大規模の補助金制度と言えます。

2. 補助額・補助率 ~最大1億円の事業再構築補助金~

補助額及び補助率は、会社規模や申請枠によって変動します。
事業再構築補助金は、ものづくり補助金などの他の補助金制度と比較して、補助額・補助率とも非常に大きいのが特徴です。

(1) 通常枠

① 通常枠の補助額・補助率

通常枠における補助額・補助率は、以下の通りです。

コロナの影響を特に受けた比較的小規模な会社は、下記の「(2)緊急事態宣言特別枠」の有利な枠での申請も可能です。
以下は、中小企業庁HPからの抜粋です。

② 卒業枠・グローバルV字回復枠とは

≪卒業枠≫
400社限定。
「中小企業」のみが対象
事業計画期間内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、中小企業者等から中堅・大企業等へ成長する中小企業向けの特別枠。

≪グローバルV字回復枠≫
100社限定。
「中堅企業」のみが対象
売上高が15%以上減少しており、グローバル展開を果たす事業を通じて、付加価値額年率5.0%以上増加を達成することを通じてV字回復を果たす事業者向けの特別枠。

③ 中小企業と中堅企業の定義

『中小企業』の範囲

「中小企業」とは、資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人のことで、中小企業基本法の定義と同様です。

『中堅企業』の範囲

『中堅企業』とは、中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社のことです。

(2) 緊急事態宣言特別枠

通常の枠に加えて、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、売上が大幅に減少した事業者は、「緊急事態宣言特別枠」(補助率 最大3/4)を受けることができます。

① 緊急事態宣言特別枠の補助額・補助率

緊急事態宣言特別枠における補助額・補助率は、以下の通りです。

② 緊急事態宣言特別枠の対象事業者

通常枠の申請要件を満たし、かつ、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1月~8月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者
 ※ 売上高の減少に代えて、付加価値額の45%減少でも可

なお、飲食業・観光産業に関わらず、上記を満たす事業者はこの枠を利用することが可能です。

④ 緊急事態宣言特別枠 ~優先的審査と通常枠での加点~

「緊急事態宣言特別枠」は、優先的に審査されます。
また、「緊急事態宣言特別枠」で不採択となったとしても、加点の上、「通常枠」で再審査されます。
さらに、「緊急事態宣言特別枠」のみで申請された場合でも、一定の加点措置が取られます。

比較的小規模の会社で上記の売上減少追加要件を満たす場合、「緊急事態宣言特別枠」が有利です。

(3) 最低賃金枠

最低賃金の引き上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に状況が厳しい中小企業等を対象とした「最低賃金枠」を設け、補助率を引き上げます。
「最低賃金枠」は、加点措置を行い、「緊急事態宣言特別枠」に比べて採択率において優遇されます。

① 最低賃金枠の補助額・補助率

最低賃金枠における補助額・補助率は、以下の通りです。

② 最低賃金枠の対象事業者

必須申請要件を満たし、かつ、下記の1と2の両方を満たす事業者
1. 2020年10月から2021年6月の間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること。
2. 2020年4月以降のいずれかの月の売り上げが対前年または、前々年の同月比で30%以上減少していること。
 ※ 売上高の減少に代えて、付加価値額の45%減少でも可。

(4) 大規模賃金引上枠

多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引き上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等を対象とした最大1億円の「大規模賃金引上枠」もあります。

① 大規模賃金引上枠の補助額・補助率

大規模賃金引上枠における補助額・補助率は、以下の通りです。

② 大規模賃金引上枠の対象事業者

必須申請要件を満たし、かつ、下記の1と2の両方を満たす事業者
1. 補助事業実施期間終了時点を含む、事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること。
2. 補助事業実施期間終了時点を含む、事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること。

なお、詳細は、必ず最新の公募要領をご確認ください。

3. 補助金を受けるための要件 ~事業再構築補助金の3要件~

補助金を申請をするためには、中小企業等の要件だけでなく、以下の3つの要件を全て満たす必要があります。
特に、(3)の事業計画は、量・質とも他の補助金以上のレベルが求められます。
すなわち、事業計画の精度が採択されるカギとなります。

(1) 売上が減っている
以下の2つの要件を満たす事業者
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、
2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。

(2) 事業再構築に取り組む
事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。

(3) 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する。
・ 補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関も参加して策定する。          
・ 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。
付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいう。

なお、詳細は、必ず最新の公募要領をご確認ください。

4. 事業再構築補助金のよくある質問

別コラム「事業再構築補助金のよくある質問① 全般・申請手続」「事業再構築補助金のよくある質問② 申請要件・補助対象者・その他各論」をご覧ください。

5. 事業再構築補助金のお問い合わせ先はここ

(1) 事業再構築補助金事務局(中小企業庁)のお問い合わせ先

① 制度全般に関するコールセンター ~事業再構築補助金~

 ≪ナビダイヤル≫  0570-012-088
 ≪IP電話用≫   03-4216-4080
   受付時間 9:00~18:00(日・祝日は除く)

② 電子申請の操作方法に関するサポートセンター ~事業再構築補助金~

   050-8881-6942
   受付時間 9:00~18:00(土・日・祝日は除く)

(2) 事業再構築補助金事務局(中小企業庁)からの有用な情報

公募要領公募に当たってのルールをまとめたもの
事業再構築補助金リーフレット補助金の概要を2ページにまとめたもの
初めて補助金を学ぶ人、必見
事業再構築補助金の概要補助金の概要をまとめたもの
事業再構築指針の手引き事業再構築のパターンとパターン別の要件をまとめたもの
G ビズ ID プライムアカウントに関するご案内電子申請に必須のアカウントのご案内
G ビズ ID プライムアカウントFAQ 電子申請のアカウントの操作等に係る質問集
ミラサポplusの操作マニュアル必須添付の財務情報の作成画面の操作説明

(3)㈱文化資本創研事務局(経営革新等支援機関)のお問い合わせ先

   ① ㈱文化資本創研の問い合わせ先 : 問い合わせフォーム

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執筆者:小林孝嗣

公認会計士・経営革新等支援機関

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  本コラムは、一般的な情報を掲載するのみであり、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。
  本コラムの作成後に、関連する制度その他の適用の前提が変動する可能性もあります。
  個別事案への適用には、本コラムの記載のみに依拠して意思決定されることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。

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