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日本は何位!? 世界のSDGs達成度と日本の順位

執筆者:小林孝嗣

公認会計士/㈱文化資本創研
国際文化政策研究教育学会 会員

㈱文化資本創研とは
サステナビリティ経営のための産学連携会社。
主な事業は、SDGs・脱炭素経営の実装支援、オープンイノベーション加速化事業、経済効果測定・データ分析。
大阪・関西万博2025への産学連携共同参画プロジェクトも展開。
京都大学含む10以上の大学・研究機関の教授・研究者と公認会計士・IRスペシャリスト・データアナリスト・プロダクトデザイナーなど実務のプロ集団が協働で企業のサステナビリティ経営の実装を支援している。
国際文化政策研究教育学会などと連携。 脱炭素経営促進ネットワーク (環境省) 支援会員

2021年のSDGs達成度が発表されました。
2021年の日本のランキングは何位だったでしょうか?

本コラムでは、最新の世界のSDGs達成度や世界から見た日本の課題などを紹介します。

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目次

  1. 世界のSDGs達成度ランキング
  2. SDGs関連リンク集
  3. SDGsのよくある質問

1. 世界のSDGs達成度ランキング ~ 日本は18位(2021年) ~

(1) Sustainable Development Reportとは

Sustainable Development Report」とは、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN:Sustainable Development Solutions Network)とベルステルマン財団(Bertelsmann Stiftung)によって毎年作成されている世界のSDGsの進捗状況を示したレポートです。

(出所) Sustainable Development Report 2021

当レポートでは、国別のSDGs達成度ランキングや地域別・目的別のSDGsの進捗状況や現状課題などがまとめられています。

(2) 世界でのSDGsの進捗状況 ~パンデミックにより初めてSDGs達成度が後退~

2021年のReportによると、2020年の世界全体のSDGs達成度は、2015年にSDGsが採択されて以降初めて前年よりも後退しました。

(出所) Sustainable Development Report 2021

主なSDGs達成度の後退要因は、 新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる”貧困率の増加”とロックダウンなどによる”失業”です。
パンデミックは、持続可能な開発の経済、社会、環境の三つの面に多大な影響を及ぼしています。

2021年のReportでは、パンデミックに限らず気候変動や生物多様性の危機など地球規模課題に立ち向かうためには強力な多国間システムが必要だと説いています。

(3) 国別のSDGs達成度ランキング ~日本は18位(前年より1位後退。2021年)~

① 世界をリードする北欧諸国と日本の現状(18位)

昨年に続き、上位3カ国は北欧3ヵ国(フィンランド 、スウェーデン、デンマーク)で占められており、北欧諸国が引き続きSDGsの取り組みでリードしていることがわかります。

日本は、前年の79.2点から79.8点に上昇したものの、順位は昨年の17位から18位に後退しました。

(出所) Sustainable Development Report 2021

前年から躍進したのは、14位のクロアチア(前年は19位)と15位のポーランド(前年は23位)で、逆に大きく後退したのは、23位のニュージーランド (前年は16位) です。
日本より上の17ヵ国はすべてヨーロッパ諸国であり、いかに欧州でSDGsが浸透しているかがわかります。
ヨーロッパ諸国以外では日本が1位であり、見方によれば日本は善戦しているといえます。

また、現在の厳しい環境下においても、東アジアと南アジアにおけるSDGs達成度の上昇が顕著になっています。
2015年と比較して最もスコアの上昇が大きい国は、バングラデシュ・コートジボアール・アフガニスタンで、逆に最もスコアが減少したのは、ベネズエラ・ツバル・ブラジルです。

(出所) Sustainable Development Report 2021

(4) 日本のSDGs進捗状況

① 日本の目標別のSDGs進捗状況

Sustainable Development Report」では、SDGsの「17の目標」の目標別達成度が公表されています。
色別の達成度の意味合いは、下記の通りです。

(出所) Sustainable Development Report 2021

≪色別の達成度の意味合い≫
緑色 : 目標達成、黄色 : 課題あり、オレンジ色 : 重要な課題あり、赤色 : 深刻な課題あり

≪日本の達成状況が高い目標≫
日本は、17の目標のうち、以下の3つの目標が”達成”していると評価されています。

特に、教育については年少教育から高等教育までの高い就学率・高い識字率などが過去から評価されており、技術・産業のレベルや紛争や犯罪などが少なく安全性が高いことも引き続き評価されています。

≪日本の達成状況が低く課題が残る目標≫
日本は、17の目標のうち、以下の5つの目標が”深刻な課題あり”と評価されています。

具体的には、 以下のような指標(ターゲット)が”深刻な課題がある”と評価されています。

SDG番号深刻な課題が残る内容
目標5:ジェンダー平等を実現しよう ・ 女性議員の割合
・ 男女の賃金格差
・ 家事・子育て時間などの男女格差
目標13:気候変動に具体的な対策を ・ 化石燃料の燃焼・セメント生産によるCO2排出量
・ 輸入から生じるCO2排出量
・ 炭素価格スコア
目標14:海の豊かさを守ろう ・ 生物多様性に重要な海洋地区の保護面積割合
・ 水(海)の汚染度
・ 過剰漁獲などによる水産資源の消費
・ 輸入に伴う海洋生物多様性への脅威
目標15:陸の豊かさを守ろう ・ 生物多様性に重要な地上地区の保護面積割合
・ 生物多様性に重要な淡水地区の保護面積割合
・ 絶滅の危険性がある野生生物
・ 輸入に伴う地上・淡水の生物多様性への脅威
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう ・ 国民総所得に占めるODAの割合
・ 金融秘密度指数

国際的な議員交流団体「列国議会同盟(IPU)」によると、日本は国会議員の女性比率が9.9%と世界166位でG7諸国では最下位でした。

また、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)がまとめた「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書2021(The Global Gender Gap Report 2021)」によると、日本の「ジェンダーギャップ指数」は156カ国中120位でした。医療においては65位であるものの、政治では147位と政治の世界での女性進出が課題であると世界から見られています。

2020年10月の菅首相によるカーボンニュートラル宣言以降脱炭素に向けて企業が大きく動き出し始めましたが、石炭火力発電などまだ化石燃料に頼った電源構成になっているなど脱炭素の面では欧米に比して取り組みが遅れていると世界から評価されています。

② 日本の達成度の前年比較 ~着実に進み始めた日本のSDGs~

2021年の調査で、2020の調査から進捗状況が後退したものとして「目標15:陸の豊かさを守ろう」があります。

これは気候変動・資源開発などによって絶滅の危険性がある野生生物が増加していることに起因しています。

目標ではなく指標(ターゲット)レベルでみると、”持続的な窒素管理””水の汚染度スコア”などが下がっていますが、下落しているのは全119個中4個のみであり、 2021年の平均スコアは79.8点と前回79.1%を上回っており、日本におけるSDGsは着実に進み始めていると言えます。

2. SDGs関連リンク集

SDGs関連の政府・経団連などの関連URLへのリンク集、SDGs経営導入のために有用なガイドブックなど、別コラム「知っておきたいSDGsの関連リンク・ガイドブック・コミュニティ」で紹介しておりますので、そちらもご覧ください。

3. そもそもSDGsとは

(1) SDGsとは

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界の国連全加盟国によって採択された国際社会共通の目標です。

(出所) 国連SDGs公式サイト

このサミットでは、2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。
この文書の中核を成す「持続可能な開発目標」をSDGsと呼んでいます。

知っておきたいSDGsの主な特徴は、以下の通りです。

  • 国連加盟国全193ヵ国が合意した目標
  • 発展途上国だけでなく、先進国も含めたすべての国に行動を求める世界全体の共通目標
  • すなわち、世界の共通言語であり、地域・世代を超えて対話できるコミュニケーション・ツール           
  • 目標年(2030年)具体的な数値も示した目標17の目標と169のターゲット)がある
  • 目標達成に法的義務はなく、取り組むか否か・その程度は各主体の判断に委ねられている
  • 国・自治体だけではなく、企業・その他の団体・個人のあらゆる主体が取り組むことが期待される
  • 「経済」、「社会」、「環境」の3つに関わる目標があり、同時両立による同時達成を目指す
  • 企業には、慈善活動・ボランティアだけでなく、本業の中で取り組むことが期待される

(2) SDGsの「17の目標」と「169のターゲット」とは

SDGsは「17の目標」と17の目標をより具体化した「169のターゲット」で構成されています。

(3) SDGsのよくある質問

お問い合わせいただくSDGsの質問のうち、まず最初に知っておきたい15のことを資料にまとめました。
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小林孝嗣

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≪SDGsランキング関連ニュース≫
世界120位「女性がひどく差別される国・日本」で男より女の幸福感が高いというアイロニー(2021年4月7日)
 引用元: プレジデントオンライン
女性議員の割合、日本は166位 世界平均は倍増25%(2021年3月6日)
 引用元: 朝日新聞デジタル
SDGsへの取り組みの評価が高い企業ランキング2020【全100位・完全版】(2020年3月25日)
 引用元: ダイヤモンドオンライン

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