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SDGsは経営リスクのチェックリスト

小林孝嗣

公認会計士
国際文化政策研究教育学会 会員

1. 最良の社会的要請チェックツール

 SDGsがチェックリスト?少々疑問に思われるかもしれません。

 SDGsは2030年までを目途とする国際社会共通の目標であり、言い換えると、「社会が企業に求めていること」をリスト化したものです。

 SDGsは、17の目標と、17の目標をより具体化した169のターゲットで構成されています。

 例えば、SDGsには以下の目標があります。
  目標5. ジェンダー平等を実現しよう 
  目標8. 働きがいも経済成長も
  目標13. 気候変動に具体的な対策を

 これを企業の当てはめてみると、『経営への女性参画』『働き方改革』『健康経営』『地球温暖化対策』『ごみ削減』など、メディアで取り上げられている企業を取り巻く課題を網羅します。

 例えば、過重労働を強いられ働きがいがない企業には人材が集まらず、ネット等ですぐにその噂が広まる。
 社員に過重労働を強いることで短期的には利益が上がっても優秀な人材が集まらず、長期的成長を阻害する。

 SDGsはこうした潜在的な経営リスクを可視化します。

 これまで、企業は社会的要請を個別に把握し対応するしかできませんでした。
 この点、SDGsは『経済』『社会』『環境』の様々な面の経営課題を網羅しています。

 したがって、SDGsは企業に対する社会的要請の一括チェックツールとして機能するのです。

2. 評価ステップ

 簡略的に17の目標169のターゲットを一つずつ当てはめます。
 その上で自社の経営リスクがどこにあるか、自社が特に求められる社会的要請を可視化していきます。

 以下が、SDGsをチェックリストとして利用した簡便的な評価ステップです。

  ステップ① 「17の目標」と「169のターゲット」が自社に該当するか否か検討する。

  ステップ② 各項目の優先順位重要性を判定する。

  ステップ③ 優先順位が高い項目から現状分析を実施し、課題の有無・内容・重大性などを検討する。

  ステップ④ 課題に対する対処方法を検討し、改善方法・改善主体・改善時期を社内外で調整する。

 より効果のあるSDGs経営の導入のためには、経営計画とのリンク・自社を取り巻くサプライチェーンからの要請などへの対応・企業価値を高めるIR手法などを考慮して進める必要があります。

 詳細なSDGs検討ステップについては、SDGsを成長につなげる3つのステップをご覧ください。

3. 望まれるサプライチェーンも含んだ評価

 また、この評価範囲は、自社単独ではなくサプライチェーンなどの取り巻く環境も含んだ広い範囲で評価することが望まれます。

 例えば、17の目標の中に、目標1. 貧困をなくそうがあります。
 この目標は、一般的に日本企業単独では関連性が薄く、企業は全ての目標・ターゲットを網羅する法的責任はないので、目標設定をパスするかもしれません。

 評価範囲をサプライチェーンに視野を広げた場合どうか。
 例えば、あるアパレルメーカーが低価格で人気だったとします。
 この場合、実はこのアパレルメーカーは目標1. 貧困をなくそうに対して重大な責任を負っている可能性があります。
 発展途上国の子供たちの低賃金による半強制労働の結果として安さが実現し、貧困問題を誘発していたとすれば、目標1. 貧困をなくそうは無関係と言えるでしょうか?
 実際上記のケースで、建物の倒壊の恐れにも関わらず生産継続したことにより建物倒壊で多くの若い労働者が犠牲になりました。

 このように、企業が本当の意味での社会的責任を果たすには、サプライチェーンなどの取り巻く環境も含んだ形でSDGsを検討することにより、経営リスクを評価することが望まれます。

 企業の社会的責任を重視した経営への移行には、まずSDGsをチェックリストとして利用してみましょう。

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小林孝嗣

公認会計士/㈱文化資本創研 代表取締役社長
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